last update 2002.12.19


12月19日(木)昼/僕を愛しているが故の?

◆例えば、織姫と彦星のことを、僕ら人間は1年にたった1度、七夕の夜にしか会えない、切ないカップルだと思っている。しかし、恒星の寿命における「1年に一度」を、人間の寿命を元にした時間感覚に置き換えてみると(まあ、ごく大ざっぱにだけど)、「約2秒に1度」は会っている計算になるのだという。宇宙を、僕らのスケールで計ってはいけない。
◆小倉で芝居を作り続けている。
稽古初日から、3日目の昨日まで、体はまったく動かさず、ずっと皆で話ばかりした。初めて会う俳優たちが、どんな俳優なのか知るためのインタビューみたいなもの。演技を僕に見せる前、僕がどんな演出をするのか知らない段階での「口でならなんとでも言える」機会は今だけだ。
「いつになったら“稽古”が始まるのか」
と不安そうな者もいるけれど、しかしこのステップを省くわけにはいかない。
◆宿泊しているホテルのすぐ側には川が流れていて、カモメがたくさん、川縁の石畳に止まっている。稽古前の昼間、僕がそこへ降りてゆくと、カモメたちが一斉に空へ舞い上がる。その様子があまりに優雅で美しいので、僕はなんだか世界に祝福されている気分になるけれど、カモメたちの側にすれば、ヒゲぼうぼうの不振な男に脅かされて空へ脱出しているわけだから、きっと優雅もくそもない。
◆幼い頃。僕の父は、僕が遊んでいるオモチャをたびたび取り上げて、繰り返し僕を泣かせていたらしい。
「なぜそんな可哀想なことするの」
と、母が怒ってたずねると、
「いや、泣いてる顔が可愛いから」
と父は答えたという。まあ僕はそれほどまでに愛らしい子供だったのだろうし、父としては僕を愛しているが故の行動だったとも思うけれど……しかし今は無き父上、僕は大人になった最近ようやくその話を伝え聞き、今更ながら、その愛し方に、ちょっと不服です。え? 愛されてないよりずっと良い? まーね、それはそうなんだけれども。


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※日記はなかなか毎日かけないけれど。趣味のコーナー『数行レビュー』、復活中。こっちは結構毎日、なんか書いてます。



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