last update 2003.01.16


1月16日(木)昼/久しぶりの長い日記。

◆クリスマスに買った、ペーパーバックみたいに分厚いノート。それが僕はとても気に入って、いつもカバンに入れて持ち歩き、時折り、絵日記を描いている。おかげで、年末から、ここに日記を描くことが減っていた。

◆昨年末。
僕は伊藤えん魔の運転する車に乗り、東京へ。彼とのふたり芝居『U-22』の上演が目的だ。深夜、雪の降り積もる高速道路。車にとっては危険な往路を、僕らの乗る車は進んだ。まるで前方に空があるかのように、雪が正面から降ってくる。僕はまた、この美しい世界に芝居はかなわいことを思い、しかしむしろ心がはずむ。
◆下北沢の線路脇、電車の揺れが伝わるような、小さな小さな素敵な劇場は、満員の観客で埋まった。僕は潜水艦の中で現実と幻を疑う男になり、うろちょろと芝居をした。これが僕の2002年最後の芝居……と思ったのだけど。

◆大阪に戻ったほとんどその足で、急遽、僕は扇町ミュージアムスクエアに。
石原正一氏の主催する『漫画朗読最強タッグ決定戦』に出場することになったのだ。本番まで数時間、"NEXT"の都木純平と即席でタッグを組んで、漫画喫茶に出張し、必死で選んだ朗読作品は、青年漫画『ミナミの帝王』。ヘナチョコ朗読だったのだけど、観客投票で、なんと優勝してしまった! 輝かしい気分で、今度こそ、除夜の鐘まで30時間を切った頃、僕の2002年の演劇は終わった。

◆年末年始。
やがて二ヶ月も家を留守にせなばならないのに備え、僕は可能な限り妻と過ごす。かつて結婚する前、芝居のために、一緒に過ごす時間が減り続ける状況に対抗して、僕は恋人に結婚を提案した。一緒に暮らせば、昼間会えなくても、たとえ起きている時間には会えなくても、少なくとも毎日、隣で眠ることはできる。……しかし遠い街で芝居作りをしている時はそれもかなわない。時間の貯金、時間の貯金。

◆今、僕は小倉。
即興的ダイナミズムと、訓練されたエレガンスを両立させた演劇を作りたい。そう考えながら、『ロッテ』『海上交差点』というふたつの芝居に取り組んでいる。その途中で僕は、同じメンバーたちと一緒に、シャトナー研を上演するという試みに出てみた。稽古場を足跡の劇場に作り替え、電子メールとネットだけで公演を告知し、稽古は6日間、それで本番。スタッフも役者も(たぶん観客の皆も)、全員シャトナー研初体験。それでもなんとかなるものだ。出来としては30点(今までの最高50点)、でも僕は物凄く楽しかった。これが2003年最初の芝居。
◆ドイツ人の演出家がシャトナー研を観にきていて、昼公演と夜公演の合間に話し掛けてきた。彼はドイツからやってきて、日本人の役者たちを集め、九州で劇団を主催しているという。世界には豪傑がいるものだ。一度、一緒に即興で『ハムレット』をやらないか、と持ちかけると、彼はやろう、やろうと言ってよろこんだ。

◆そんなことやってる合間に、東京の首藤健祐から、東京ハートブレイカーズの台本が届く。こっちの方も、戦場はすぐそこに迫っているのだ。腕が鳴る。

◆映画のプロデューサーからも連絡の電話とメール。
「脚本の進み具合はどうですか?」
書いてます、今書いてました、と答える。催促されることはありがたい。世の中の、催促することを仕事にしている皆さん。僕らは催促されることを、本当にありがたいと思っているのです。


◆『スタートレック』シリーズは、単なるSFではなく、他種族同士が争い、やがて共和してゆく過程を描く傑作テレビシリーズでもある。普通のドラマでは構えて見られる差別問題なども、SFという手段を持てば自由にメッセージを伝えることができると、プロデューサーのジーン・ロッテンベリーは考えていた。そして実際、クラシック・シリーズの時から今にいたるまで、武力ではない方法によって争いを納めるエピソードがたくさん描かれている。そんな素晴らしいテレビシリーズを持つ国が、なぜあんなことになってしまうのか。 「自分が殺されるかもしれない」という恐怖は、我を失わせるほどのパワーを持っているのだろう。
◆てなことを考えていたら、大学時代の友人から、
「いや、アメリカには、反米をキャラにしたプロレスラーがいたり、身体障害を笑いに転化するコメディがあったりして、エンターテイメントの連中はガンガン行ってますよ。思ったよりあの国は奥が深いです」
というようなメール。そーか、どこにでも、頑張っている人々はいるのだ。


※2003年の仮面劇に向け、西田と共に芝居作りをしてくれる表現者、まだまだ募集! 詳しくはTOPページを下の方までスクロール!

※『惑星ピスタチオDVDBOX』なる企画が、アプリコットバスにて現在進行中! ここしばらくは、アプリコットバスを要チェック!

※日記はなかなか毎日かけないけれど。趣味のコーナー『数行レビュー』、復活中。こっちは結構毎日、なんか書いてます。



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