last update 2003.05.25


5月24日(土)自分が挫けないための工夫。

◆昨日。
僕は新幹線に乗り、名古屋へ出かけた。愛知県の高校演劇で指導をしている教師たちに、自分の演劇について講演することになったのだ。
◆僕は自分の演劇について語るのが、得意ではない。日頃、演劇についてペラペラ(ホントにペラペラ)喋るから、よほど喋るのが得意だと友人たちには思われているようだけれど、しかしだね、みんな。皆は僕のことを誤解してる。僕がどんな演劇を作ろうと思ってるのか、僕は言えた試しがない。僕はいつも、誤解されるような喋り方しかできてない。
◆しかし僕も成長せねばならない。苦手なことだって、丁寧に頑張れば、いつか克服できるはずだ。そう考えて、僕は名古屋で先生たちの前に立った。
◆阪神大震災の日々、瓦礫と炎と悲鳴の街で、僕の演劇は何の役にも立たなかったこと。いつしか仲間とうまくいかなくなり、劇団が解散したこと。同時多発テロに呆然として、それでも呆然としながら演劇を続けたこと。イラクで若者が脳味噌を吹っ飛ばされている時も、ただ演劇を作っていたこと。僕は自分の苦悩ばかりを喋った気がする。
◆講演は、なんだか好評のようだった。
喋り終わった午後、僕は街をひとり、歩いてみた。名古屋駅の近くに、噴水のある広場を見つけ、そこのテーブル付きベンチに腰掛ける。空が青い。戦争とも災害とも、そしてもちろん演劇とも関係ない風が、女の子たちのスカートをめくったりして駆け抜けてゆく。
◆ぼんやり、僕はまた思う。僕、やっぱり演劇やるのに向いてないよなー。向いてないのに、なぜやるんだろう。なんで出来なさそうなことばかり、選ぶんだろう。どうして帰れなさそうな道へばかり、ゆくのだろう。きっと、そんな性格に僕は生まれたのだろうな。せめて自分の人生を「冒険」と呼ぶことにした、20代の頃のあの思い付きは、きっと、自分が挫けないための工夫なのかもしれないな。



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