4月末、名古屋に引っ越した。
越してわずか10日、名古屋に住んだあと、東京で5週間。
東京ハートブレイカーズの稽古に明け暮れた。
家を5週間も留守にするのはツライ。
せっかくツライ留守をするのだから、
それに見合うだけの凄い芝居を作ろうと心に決めて、
わき目もふらず稽古に没頭した。
命がけの芝居になった。
命がけは楽しい。
僕らは毎日大笑い。
役者たちは毎日自由に叫んで、客席に向かって拳を突き上げた。
観客も拳を突き上げてた。
僕は5週間分の荷物をまとめて、ようやく名古屋に帰ってきた。
妻が待っていた。
眠った。
思い出すのは、東京での稽古に通う道。
自転車で毎日、往復1時間半。
その途中、大きな斎場の側を通る。
むかし、一緒に命がけで芝居を作り、やがて僕とケンカして東京へ去り、
そのまま、僕の知らぬ場所で死んだ仲間、平和堂ミラノ。
僕は彼女の葬儀を当日まで知らず、見送ることはできなかった。
11ヶ月前のことだ。
彼女が東京の仲間や家族たちに見送られたのは、
シャトナーくん、キミが毎日通り過ぎている斎場なんだと、
首藤健祐が教えてくれた。
僕は毎日、その斎場の側を通って稽古に出かけた。
一回くらいは、ひょっとしたら彼女に会えるかも、と思ったけれど。
なかなかそういう不思議なことは起きない。
気づかなかっただけかもしれない。