その、長身の、美しい友人は、
自分が人間でないことを僕にうち明けた。
彼は、ヘビの化身で、人間を主な食料にして生きているのだ。
彼の指には、この上ない切れ味を持った刃物のような爪が収納されていて、
獲物に苦痛を与えず、タテと横に、スッと切断することができる。
「いつも、全然、苦しくないように、スッと殺すんだ、簡単だよ」
と彼は美しい声で僕に言った。
ある日、彼は僕の目の前で、別の2人の友人を生きたままスライスし、食べた。
彼が食べようと思うだけで、人間は動けなくなり、難なく捕らえられてしまう。
2人の友人は、抵抗することもなく、ただ身をスライスされるたびに、
「うわ」「うわわ」
と、悲鳴なのか吐息なのかわからない声を上げていた。
僕は、彼が僕らの友人を食べる光景を、恐ろしいと思い、そして美しいとも思った。
止める勇気はなかったし、止めるべきかどうかも、分からなかった。
彼は食事をしているだけなのだ。食事のどこに罪がある?
いつか僕が食べられることを僕は想像して、僕は恐怖と期待を感じた。
彼はある雨の日、人間の警官に追いつめられ、撃たれた。
彼は冷たい血を流しながら、黒いタイヤが積み重なった場所へ逃げた。
僕も一緒についていった。
そこには、彼がこれまで食べた人間の、おびただしい白骨が埋まっていた。
雨の中、僕の息は白く、彼の息は白くなかった。
弱った力で彼は僕の手をとり、僕に言った。
「オマエだけは喰わないことにしてたんだ」
その続きを言わずに、彼は息絶えた。
喰わないことにしていた、それだけを言いたかったのか?
喰えばよかったと言いたかったのか?
僕は冷たい友人を雨の中抱きしめた。
死の恐怖から解放されて安堵し、死の期待から見放されて悲しかった。
いやもちろん、夢の話だよ。
僕らは誰かの犯した罪を、皆で償えばいいんじゃないか。
死刑ですら償えない大量殺人犯の罪も、
責任を問えない少年の罪も、
もつれてほどけないアメリカの罪も、
「どうやって当人に償わせるか」そればっかり考えても、
非現実的な答えしか出ない。
僕らみんなで、罪人の罪を償うんだ。
みんなで、被害者を悲しみから救うのだ。
きっとそうすれば死刑もいらない。
戦争もいらない。