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◆夏になった。
セミはまだ鳴いていないけれど。
空が高い。
雲が大きい。
ビルの谷間をカナブンが飛んでゆく。
僕の部屋では、扇風機が機嫌よく回っている。
◆先々週末。
年末にやる、AAFプロデュース公演の出演者のオーディションを、終えた。
オーディション会場は、愛知県文化芸術センター。
美しいビルの12階にある、大きな会議室。
次々にやってくる出演希望者たちを、わずか10分ずつ、僕は見る。
10分間で、私の何がわかるというの?
きっとオーディション受験者たちはそう思っていることだろう。
本当にね。10分間で、彼女たちのなにも僕はわからないのかもしれない。
わからないかもしれないけれど、僕は決めるのだ。
時折の休憩時間、僕は会議室の外の、12階の庭園に出て、ベンチに座って空を見る。
ツバメがずっと、庭園の周りを、伸びやかに飛んでいる。
名も知らない白と黒の鳥も、庭園の高い手すりで空を見ている。
しばらくそうして、自分の手の届かない空を目に焼き付けて。
そしてまた会議室にもどり、次の受験者の演技を見るのだ。
心の中に空のある役者は、誰だ。
◆一方で僕は、演劇研究所のメンバーたちとの活動を始めている。
まずは、公演を目的としていない、単なる俳優としての地力固めのための練習の日々。
このところ、ずっとこういうことをやっていなかった。
◆毎日、なぜだか、川の出てくる夢を見る。
僕は、川に沿って旅をして、そこでエビを獲ったりカニを獲ったり魚を獲ったりしている。
◆先週、【宇宙猿】の本稽古が始まった。丁寧に進めて、妥協ない作品を作ろう。
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